港区立本村小学校(東京)

港区立本村小学校(東京)

2025年1月23日、港区立本村小学校で「ライトハイク教室」を4年生2クラスに実施いたしました。(日本財団助成事業)

11月の5年生に続いての実施です。

今回の「詩の先生(ポエトリー・ティーチャー)」は、英語バイリンガル落語家の琉水亭はなびさん。港区の観光大使でもあります。

今回もライトハイクの「三つ編み」を用いて、クラスみんなで四行詩を作ります。

今日のお題(起句)は4年生2クラスの先生お二人で考えた

心がゆれ動くとき

子供たちが感動したものを引き出すための分かりやすいパスです。「心がゆれ動くとき」を(上の句)として、これに結ぶ上の句と同じ文字数【8文字】のフレーズ(下の句)を生徒さんに出してもらいます。

今回、4年生ということもあり、生徒の皆さんにはシンプルにこのように伝えました。

 

この言葉に結ぶ、面白い言葉を、8文字で考えてください。

 

「面白い」を辞書で引くと、以下があります。(goo辞書より)

1.興味をそそられて、心が引かれるさま。興味深い。

2.つい笑いたくなるさま。こっけいだ。

3.心が晴れ晴れするさま。快く楽しい。

4.一風変わっている。普通と違っていてめずらしい。

5.(多く、打消しの語を伴って用いる)思ったとおりである。好ましい。

6.風流だ。趣が深い。

 

「おもしろし」は古代より使われてきた言葉です。当初は、6のみの意味だったのかもしれません。そしてそれは、和歌を詠むに際し、とても大事な要素でした。つまりは詩作の真髄です。それは、現代になったとしても変わるものではありません。

時代を経て、「おもしろい」には、6以外の要素が増えていったと思われます。今では、「滑稽だ」が一番使われる意味でしょうか。言葉は生きています。その時代の人々の感性が反映されています。元々「趣が深い」という意味の言葉を「滑稽だ」という意味でも使い出したということは、そこに人々が、趣き(詩)を感じてきた証拠でもあります。

だから、子供たちには、自信を持って、面白いは詩であると感じてほしい。詩って難しいもの?という壁を取り払ってもらいたいのです。

出された句の中より、協会代表と、はなびさんが選んだ2名に前に出てきてもらい、それぞれその言葉を選んだわけを話してもらいます。そのあと、自分はどちらが好きか、観ている生徒さんたちの挙手により、1句を選出します。

詩に間違いや、正解はありません。優劣もありません。あるのは、詩を受け取った人が今、それを好きかどうかだけ。その人も時間が経てば、好きが変わるはずです。あくまで、今、好きかどうかだけ。詩の選分けができるのは、それだけだと思っています。生徒さんには、どちらが好きかだけを聞きます。

好きが多かったほうが、次のお題(上の句)となります。

これを3回繰り返して(三つ編み)、そのクラスみんなで作る【四行詩】が誕生します。

 

今回の2句目(承句)は、素晴らしい句が選ばれました。

 

心がゆれ動くとき

えんぴつ折れた時

 

これは、大人は出てこない。えんぴつ現役の小学生だから出せたと思います。

この二行詩は、素晴らしい詩。

これだけで十分、伝わる二行詩ですが、ここにさらに結ぶ言葉で、衝撃を受けました。

いつものように一旦、「心がゆれ動くとき」は忘れてもらい、

目の前にある「えんぴつ折れた時」だけを見て、そこに結ぶ言葉を考えてもらったところ・・・

 

えんぴつ折れた時

たましいがぬける

 

ああ!!!!そういうことだったのか・・・

鉛筆の芯が折れる 🟰  鉛筆の魂が抜ける

なんです。この感覚、大人は忘れていませんか?

確かに、子供の頃、言葉が悪いですが、芯の折れた鉛筆は死んだと感じた覚えがあります。ただ、削ればまた復活する。芯の折れた鉛筆は「鉛筆の死」なんです。でも、すぐに再生する。日常の中に、こんな深遠な詩があるのです。

最終的に以下の四行詩が生まれました。

 

心がゆれ動くとき

えんぴつ折れた時

たましいがぬける

新しいのを買う。

 

新しいのを買う。を出してくれた生徒さんに「いくらで買えるの?」と聞くと「百円」と回答がありました。確かに鉛筆は百円で買えますが、魂が百円で買えるというのは、これはもう立派な俳諧です。

最後に、はなびさんによる英語落語の披露、そして、クラスみんなで作った四行詩を小噺にして口演をいただき、生徒さん達に立体的に感じてもらいました。

機会をいただいた本村小学校さん、校長先生、ご担当の先生方、そして何より生徒の皆さん、ありがとうございました!

すごくすごく、面白かったです!


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: