いかにも本命ですと言いたげな そだい
投句された中より、きらりと光る佳句を紹介して参ります。
今回は逆さに結ぶ「櫂結び」、下の句と結びます。
いかにも本命ですと言いたげな
チョコレートの真っ赤なハート
「櫂結び」は上から下に結ぶ普通の結びと比べて、難易度が上がります。
それは恐らく、普通の結びは無限の選択肢があるような気がするのに対し、
逆さに結ぶ「櫂結び」は、既にそこにあった(はず)の言葉を復元するような気持ちになるからです。
なんだ、「気持ち」の問題かということですが、詩って、その気持ちが一番大事なんですよね。
そして、長谷川櫂さんがまた、難しいお題を置いていかれたわけです。
今月を意識してくださったお題ですが。。。
まず、「真っ赤なハートのチョコレート」ではないのです。
「真っ赤なハートのチョコレート」ならば、ハート型のチョコなんだなって、思えます。
それが順序が逆の「チョコレートの真っ赤なハート」
これは、なんでしょうか。
真っ赤なハート型のチョコレートでもあるし、、、「チョコレートのハート」とも取れます。チョコの心・・・。
チョコに心があるならば、それはどんな心でしょうか。
そう考えた時に、今回の佳句が、バシッとはまります。
真っ赤なハートは、いかにも「本命です」「あなたが好きです」って言いたげ。
チョコに心はないけれど、心がチョコに溶け込んでいます。
有名な話で、夏目漱石が「I LOVE YOU」の訳を「月が綺麗ですね」としたというのがあります。これは出典が明らかではないので、後世の創作かもしれないのですが。
2月は「I LOVE YOU」の代弁をチョコレートがしてくれます。
「月が綺麗ですね」は分からなさ過ぎ(まず伝わらない)ですが、
真っ赤なハート型なら、誰でも翻訳できちゃいますね。
あなたが好きです。大好きです。