投句された中より、きらりと光る佳句を紹介して参ります。
月が綺麗やから けけ
お題の上の句と並べます。
寝坊のいいわけ
月が綺麗やから
今月、お題(上の句)をいただいた小痴楽師匠は、寝坊することで有名(?)な師匠さんです。小痴楽師匠からこのお題をいただいた時は、思わずニヤリとしてしまいました。
ライトハイクという二行詩型にとって、当然、発句となる<上の句>の存在は大きいです。ただ、逆もしかり。極言すれば上の句はなんだっていい。これが実に面白い。
芸人の粗品さんがプロデュースした「ツッコミスター」という番組があります。ここで出されるお題(それに対してツッコミを入れる)が、すごかった。
ただの「色」であったり、「数字」であったり。無機質なものをお題と出して、それにツッコミを入れるというものすごく難度の高いものでした。ツッコミを考える芸人さんも大変ですが、それを観ているお客さんの理解力、想像力も必要です。瞬時に頭の中で処理しなければならない。これは大変です。
その点、ライトハイクはまだ「言葉」ですから、少し安心できます。言葉に言葉で応えることは、普段の生活の中でいつもやっていることですから、まだ馴染みがある。
話を戻すと、今回の「寝坊のいいわけ」と言うのは、非常に優しいお題(上の句)の出し方です。「寝坊の言い訳を考えてください」ということですから。けして無機質でもない。なんだか、人間的な温もりも感じるお題です。そういうのは、<結ぶ言葉>が出しやすいものです。
もし、このライトハイクの「言葉のあやとり」で、いいお題(上の句)とは?と聞かれたら、やはり、いい下の句を呼びやすいものと言えるかもしれません。上の句単体で、たとえば、自由律俳句のように良い短詩であったとしても、それで完成していて、下の句を呼びずらいものは、上の句としてはよくないと言えます。でも、ツッコミスターのように、下の句を呼びずらい上の句に、これしかない!と言った、いい言葉(下の句)を結ぶことができたら・・・それはそれで、痛快です。
誰かに下の句を結んで欲しい場合は、優しいパスがいい。
でも、W杯の鎌田の1ミリのように、強いシュートの軌道を変えて得点に結びつける下の句も、創作者としてはチャレンジしたい。
結局、どちらも、いいわけです。
この自由詩の懐の深さが、私は大好きです。
さて、今回のけけさんの佳句を見ていきましょう。
月が綺麗やから
寝坊の言い訳として、とても綺麗な言い訳ですよね。たった、7文字ですが、
昨日の夜、寝ようとして電気を消したら、やけに部屋が眩しいんです。
あれ?と思って、窓から外を見ると、満月でした。
それはそれはとても綺麗な満月で、思わず、ずっと月を見ていたのです。
寝るのも忘れて。
などと(妄想が激しいですが。笑)いう言葉が見えてきます。まるで、平安貴族が言いそうな。
そして、なんと言っても、この佳句のとても良いところは「や」です。
「月が綺麗だから」ではなく「月が綺麗やから」
たった1文字変わるだけで、どうして、こんなに変わるのでしょうか。
関西テイストが加わって、この句をより丸くしている感じを受けます。
満月のように。


