2025年12月8日(月) 主催:公益財団法人 認知症予防財団 共催:一般社団法人ライトハイク協会 後援:毎日新聞による「認知症予防セミナー ライトハイク・メソッド」を毎日ホール(東京・竹橋、毎日新聞社)で実施しました。

司会進行は、弊会代表、八塚慎一郎。当日は2部構成となっており、前半「ライトハイク」のゲストに弊会理事の林家たい平師匠、そしてたい平師匠の弟子であり息子さんの林家咲太朗さんをお迎えしました。後半は、認知症予防の第一人者である、筑波大学名誉教授・朝田隆先生の講演です。
「ライトハイク」という名前自体、初めて聞く皆さんばかりです。冒頭、弊会が「詩を社会の役に立つものにするために」起ちあがった旨をお話しして、まずは、たい平師匠、咲太朗さんにも一緒に参加いただいて、言葉を使った、頭のストレッチからスタートです。
「言葉」を使う、頭のストレッチには色々な方法がありますが、この日は毎日新聞さんのお膝元で開催することもあり、毎日新聞に掲載されている坪内稔典さんの俳句コラム「季語刻々」と毎日新聞の名物コーナー「万能川柳」から出題しました。
句の中の一部の言葉を抜いて発表して、ここに何の言葉が入るか、皆さんに考えてもらうストレッチです。当日出題した一例は(万能川柳より)
◯◯の人には会わないのが無難
私は、この「詩の穴抜きクイズ」が大好きです。それは、時にオリジナル超えの言葉が、たくさん出てくるからです。こちらのクイズも、あえて正解はここには書きません。皆さん、考えてみてください。
このような問題を使って、15分ほど念入りに頭のストレッチを行い、頭を柔らかくしてから、いよいよ、「ライトハイク」の実作です。
当日は、私(代表)と、たい平師匠と、咲太朗さん、それぞれ1題ずつ、計3つのお題(上の句)を用意しました。それぞれのお題に結ばれた、たくさんの下の句から、3人が好きな作品をピックアップして、皆さんにお知らせします。中でも気になる作品はインタビューして創作意図を伺いました。
最初は、咲太朗さんからのお題(上の句)
今日咲いた綺麗な花
創作前に先入観を持つといけないので、当日は何も言わず、いきなり創作いただきましたが、勘の良い方はお分かりいただいたであろう、咲太朗さんのお名前から出されたお題になります。
当日、我々が選んだ作品は以下です。選んだのは、あくまで我々の好みだというだけ。甲乙ありません。皆さん、素敵な言葉を結ばれていました。
上の句と並べてご紹介します。
今日咲いた綺麗な花
ペッと捨てた種から
今日咲いた綺麗な花
香りとともに妻想う
今日咲いた綺麗な花
娘の結婚式思い出す
今日咲いた綺麗な花
夏に水やり続けた娘
今日咲いた綺麗な花
誰の心にとどくのか
今日咲いた綺麗な花
明日は貴女の枕べに
今、手元にそれぞれの原稿があります。紙に自分の文字で書く。ライトハイクは、このことも大事にしています。そして、その原稿には、素敵な「跡(あと)」が残っていることがあります。
最初に書きました、「ペッと捨てた種から」は、実は
いつか捨てた種から
の「いつか」に横線を引いて消して、「ペッと」に変えられています。この「いつか」から「ぺっと」への変換。これが、かけがえのない<詩作>なのです。
次は、たい平師匠からのお題(上の句)です。
咲太朗さんは詩的なお題でしたが、たい平師匠、さすがです。
捨ててよって言ったじゃない
この、何でもない日常の中にある「フレーズ」に、自分の言葉を結んで詩に昇華させる。これもライトハイクの醍醐味になります。
3人で選んだ、我々の好みが以下。
捨ててよって言ったじゃない
だけど月は落ちてこないのよ
捨ててよって言ったじゃない
自分じゃ捨てられない箱なの
捨ててよって言ったじゃない
当ってないのに未練がましい
捨ててよって言ったじゃない
じゃああんたが捨ててみろよ
捨ててよって言ったじゃない
とっくに見飽きたデート写真
捨ててよって言ったじゃない
この頃は聞こえないオレの耳
捨ててよって言ったじゃない
明日から私、前向きに生きる
十人十色。同じ上の句の世界(みんな同じところにいたはずなのに・・・)から、色々な世界線に飛ばされていく。ライトハイクの楽しいところです。
・・・ここで、ある実験をしました。
AIにも、事前に同じお題で言葉を結ばせていたのです。
それが以下。
捨ててよって言ったじゃない
まだ胸が痛いままのこの日々
これに、上記の中より「捨ててよって言ったじゃない/だけど月は落ちてこないのよ」「捨ててよって言ったじゃない/自分じゃ捨てられない箱なの」の3句を並べて
どれがAIが作ったと思いますか?
という質問を皆さんにしてみました。
・・・意外な結果となりました。
それぞれに手が上がりましたが、圧倒的に少なかったのがAIが作った作品「まだ胸が痛いままのこの日々」だったのです。つまり、、、
AIではなく、人間が作ったもの
と一番思われたのが、実はAIが作ったものだったのです。
AIの技術の発展は凄まじく、このような結果となりました・・・ただ私は普段からAIに作らせていることもあり、この結果をそのまま素直には受け入れません。思うところがあります。
聞き方が良くなかったと。
シンプルに、皆さん、どれが好きですか?
と聞けば良かったのです。
そうなれば、多分、結果は違ったはず。
人の心を動かすのは、人の言葉であってほしいのです。
そんなハプニングもありながら、本日、最後のお題。
私(代表)からは思い入れの強い「上の句」を出題しました。
それは、2022年・夏に、今治西高校伯方分校で、初めて行った「ライトハイク」の授業で、生徒の皆さんと初めて作ったお題になります。いわば、歴史上、最初の皆で作ったライトハイク。
溶けすぎるアイス
ライトハイクは、このフレーズがら始まったのです。
選んだ作品です。
溶けすぎるアイス
みたいな君とボク
溶けすぎるアイス
溶けないキミの心
溶けすぎるアイス
追いつかず泣ける
溶けすぎるアイス
何にも残らないの
溶けすぎるアイス
かたすぎるあたま
溶けすぎるアイス
祖母の夏のみやげ
そして、このお題は、たい平師匠、咲太朗さんにも作っていただきました!
咲太朗さん
溶けすぎるアイス
見上るアリの行列
たい平師匠
溶けすぎるアイス
すくいあげる青春
あの夏の、瀬戸内海を思い出しました。
皆さん、ありがとうございました。
後半は朝田隆先生の講演をいただき、最後に朝田先生から以下の言葉をいただきました。

皆と一緒。
楽しい。
そうです。私は、認知トレーニングというのは、あくまで「おまけ」で、楽しく皆と一緒にできる。それがライトハイクだと思っています。
それでいいし、それがいいです。
今回、セミナー実施のために奔走いただいた、認知症予防財団の吉田さん。スタッフの皆さん。たい平師匠、咲太朗さん、朝田先生。そして、何より、当日参加いただいた皆さん。
ライトハイクは、皆で一緒に作り上げるものです。
楽しい時間を、本当にありがとうございました。


