Pick up 佳句

Pick up 佳句

投句された中より、きらりと光る佳句を紹介して参ります。

 

キジバトが茶色のまま居た  千秋

 

お題の上の句と並べます。

 

青い鳥は部屋に居なかった

キジバトが茶色のまま居た

 

なんでもないフレーズに、新たなフレーズを結ぶことで、二行詩が生まれるライトハイク。

ですから、お題となる上の句は、それ自体が詩句になっていなくてもいいと考えています。むしろ、その方が、下の句の結び甲斐があるとも思ったりします。

例えば、「コンビニ」とか。どこにでもある、ありふれた単語やフレーズこそ、自分の言葉で詩として生まれ変わらせてあげたい。傲慢かもしれませんが、詩人はそもそも傲慢な存在。謙虚な詩人などありえません。この世界のことわりを、自分の言葉で表現しようとするのですから。そんなのできっこないけど、やろうとすることこそ「俳」、詩作だと思っています。

そして、ここで言いたい大事なこと。

詩人は決して特別な存在ではありません。

誰でも詩人になれます。

では、どうやって、詩人になるか。

簡単です。

詩を作ることです。

詩人が詩を作るのではなく、詩を作る人が詩人なのです。

だから私は、胸を張って自分は詩人だと言いたい。

詩を作っているのだから。

上手い下手なんて、どうでもいい。

詩には、そもそも正解がありません。

自分が詩だと思って書いた言葉は、口にしたフレーズは、

誰の批判も浴びてはならない、その人の詩なんです。

 

うまい俳句はあるかもしれない。うまい短歌もあるかもしれない。

ただ私は、下手な詩なんてないと思っています。

もし、その詩を評価する物差しがるとするならば、

それは、その詩を好きだという人がどれだけいるか。ただ、それだけ。

それも、あくまで、【今】、その人が好きというだけです。

明日になれば、来年になれば、その人が好きな詩は変わるものです。

詩って、そういう自由なものだと思っています。

いいとか悪いとか、決めつけちゃいけない。

自由詩って、その形式だけではなく、その中身も含めて、自由詩なのです。

コンビニ

毎日夜市

 

前置きが長くなってしまいました。。。何が言いたかったかと言うと、今回の花緑師匠のお題は、それ自体が詩句!キターって感じです。自由律俳句とも言えます。かつて試しにやってみたことがあります。自由律俳句を上の句(お題)にして、そこに同じ文字数で自由律俳句を下の句として結ぶ。つまり、上の句単体でも詩があって、下の句単体にも詩がある。そして、その上下を結ぶと、さらにそこにももうひとつ詩がある。このひとつのライトハイクに3つの詩が存在するという究極形。これ、めちゃくちゃ難しいです。でも、作ることは不可能ではない。将来、ライトハイク・マスターが現れたら、是非、チャレンジしてほしいですね。

今回、引いた千秋さんの句。

下の句「キジバトが茶色のまま居た」だけ最初に書いていますが、ちゃんと、詩が、俳がありますね。キジバトは、だいたい、茶色なのですが、あえてそれを言葉にする。面白いですね。

鳥が好きな、小学生の娘が言った言葉が忘れられません。

「ハトは、タダで観られるからいい」

ハトはいつでも無料で観られる。鳥好きからしたら嬉しいのでしょう。いつでも、当たり前の中に詩があります。

 

花緑師匠の上の句、詩があります。

青い鳥は部屋に居なかった

千秋さんの下の句、詩があります。

キジバトが茶色のまま居た

 

そして、上下を結ぶと、新たな詩がまたそこに生まれます。

青い鳥は部屋に居なかった

キジバトが茶色のまま居た

色が、響き合うんですね。


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