詩のレク(ココファン伊勢佐木長者町)

詩のレク(ココファン伊勢佐木長者町)

2025年4月11日 ココファン伊勢佐木長者町(横浜市)でライトハイクを用いた詩のレクリエーション(言葉のあやとり)を実施しました。

普段は学校で詩の授業をしていますが、高齢者の皆さんにも、同様に言葉のあやとりを楽しんでいただくレクになります。言わば、これまであるようで無かった、シニアの皆さんで楽しむ大喜利です。

大喜利は日曜日の夕方にテレビで観るだけではありません。実際にやってもらうと、もっと楽しく、面白いものなのです。

これまでこのようなレクリエーションが無かったのは、「人を笑わせるのは難しい」という偏見があったからかもしれません。確かに難しいです。でも、ちょっとやり方を変えるだけで、つまり、笑わせるのが目的ではないとするだけで、一気に壁がなくなるのです。

笑わせるのが目的ではない大喜利。代わりに何を目的とするか。

「詩を作る」を目的とするのです。

おっと、ここにも「詩は難しいもの」という偏見がありますね。こちらも考え方を変えましょう。「詩に正解はないのだから、間違いもない」とするだけで、ずいぶん、楽になります。毒をもって毒を制するではないですが、偏見を壊すために偏見をぶつける。ライトハイクというツールを使えば、皆で、大喜利を楽しめるステージが、そこに出来上がるのです。人を笑わせるのが目的ではありませんが、結果、たくさん笑うレクリエーションとなります。頭をフルに使ってかつ笑えるのですから、やらない手はありません。

「ライトハイク」という言葉を初めて聞く皆さん。噺家さんがよく使う「名前だけでも覚えて帰ってくださいね」まさに、そのために、このレクリエーションをやらせていただいています。

ただ「ライトハイク」を知らなくても、お題(上の句)を出して、その下に同じ文字数のマス目を用意すれば、余計な説明をしなくても、自ずと皆さん、「やるべきこと」を理解して、自然にやっていただける(マス目を埋める文字を書かれる)んですね。これは、日本だからです。外国に行って同じことをやっても恐らく「何をすればいい?」となるでしょう。

これは「笑点」があるからか、それとも日本語にそのような作用があるのか、はたまたDNAに刻まれているのか・・・明確な理由は分かりませんが、恐らく答えは

和の国

だからだと思います。

日本で生まれ育つと「和」することが自然に身に付くのではないでしょうか。あんぱんやカツ丼などが、常に周りにありますからね。異質なものを和して新たなひとつを生み出す、こと&ものが日常にある和の国なのです。

今回参加の皆さんも、すぐにご理解をいただけました。弊会の理事がたい平師匠なのも大きいかもしれません。皆さんに大喜利のイメージがすぐに伝わりますから。詩を作るんだと気負って臨まれるより、気楽に回答してほしいのです。むしろその方が名作が生まれます。詩の面白いところです。

 

まずは練習として以下のお題(上の句)を出題しました

雨の遊園地は

この言葉に結ぶ【6文字】を皆さんに回答してもらいます。

用紙を配って、そこに直筆で書いてもらいます。

ライトハイクは、この「自分の文字で書く」を大事にしたいと考えています。スマホで打つより、やっぱりいいんです。自分の文字で書ける状況があるならば、是非、直筆でやってもらいたいと思います。文字の上手い、下手なんてどうでもいいんです。字は人を現す。詩も人を現す。人と人が言葉を結ぶのがライトハイクです。AIには入ってこれない聖域です。

回答として「なつかしい今」「子等がいない」など出てきました。中でも一番好きだったのが

雨の遊園地は

犬も寂しそう

です。雨の遊園地を前にして、犬にフォーカスを合わせること、なかなかできません。そのピントを犬に合わせることが、すでに詩だと思います。

 

頭のウォーミングアップを終えて、次のお題です。

さよならのかわりに

誰もがご存知かと思います。山口百恵さんの名曲「さよならの向う側」に出てくるフレーズです。なぜ、このお題にしたかと言うと、このフレーズの前に

Thank you for your kindness
Thank you for your tenderness
Thank you for your smile
Thank you for your love
Thank you for your everything
さよならのかわりに

5つの英語のフレーズが並べられます。ライトハイクが最終的に辿り着きたいところは、違う言語同士で1フレーズに1フレーズを結ぶ詩です。異なる言語同士の場合は、語数揃えのルールもありません。単純に1フレーズに対して、1フレーズを結ぶのです。実はこの形は、昔から日本の歌謡曲で馴染みのある形です。他の国の歌でも、自国語に英語が入る歌はあるんじゃないでしょうか。歌を盛り上げたり、アクセントとして入れるのに効果的ですからね。

「さよならの向う側」で言えば、最後の二行。

Thank you for your everything
さよならのかわりに

この形(二行詩)を世界に広げたいのです。今ではスマホでどんな言語でも瞬時に翻訳され内容を理解できます。そのような技術ができあがった「」こそ、現代の和の歌を世界で楽しむ時がついに来たのです。

いくつか出された中で、皆の総意(どれが好きか)で選んだ下の句はこちら。

さよならのかわりに

月日がたって今幸福

シニアの方の言葉だから、なおさら伝わりますね。ちなみに作者さんによれば、幸福(しあわせ)と読ませたいとのことです。もう、立派な詩人さんです!

次はいつもの「三つ編み」選ばれたこの句が次のお題(上の句)となります。これを3回繰り返して、ココファン伊勢佐木長者町の参加者さん皆で作った四行詩が以下です。

さよならのかわりに

月日がたって今幸福

別れた貴男もですか

あの日の別れ正解ね

三行目の貴男は(あなた)と読むとのこと。小学生では出ない言葉です!内容もさることながら、まさに年の功によって作られた詩です。

事前に三つ編み(四行詩)を作るとは告げずに臨んで、あくまで目の前のフレーズに結ぶ言葉だけを考えてくださいと出来上がった四行詩なのですが、ちゃんと起承転結になっているところが、詩の面白さです。

今回、驚いたことがあります。

まず、皆さん、すぐにスラスラ言葉を書いてくださること。小・中学校で行う場合、創作時間として5分を設定するのですが、今回はだいたい皆さん1、2分で書き上げられていました。小学校では「何書いていいか分からな〜い」と5分で足らなくいつも延長するくらいです。

すでに経験上分かっていますが、すぐに出てくる言葉(閃き)の方が良い作品になる確率が高いです。言葉を交わしてきた経験をたくさんお持ちだから、すぐに出てくるのでしょう。詩作にとって、年齢(人生経験)は確実にアドバンテージになります。

そして、やはり人間、「言葉は忘れない」ことを再認識しました。いつも使っているものが言葉だからだと思います。使わないと誰しも忘れてしまいます。言葉は使わなくなる心配がない。人間の根幹である「言葉」を使って楽しむ、言葉のあやとり。この詩のレクリエーションは、きっと、人にとって大きな意義と意味のあるものだと思います。

機会をいただけましたら、どこでも伺いますので、ライトハイク協会にお声がけください。

今回、機会をいただいた学研ココファンさん、ココファン伊勢佐木長者町さん、スタッフの皆さん、そして何より参加された皆さん、ありがとうございました!楽しかったです。


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